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    「志通信」メールマガジン       2005.4 VOL.48

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■高知へ

高知と言えば坂本龍馬。
今月は、現代に生きる二人の龍馬経営者の話を伺ってきました。
(少々長文です)


■ネッツトヨタ南国さま

「サミュエル・ウルマンの『青春』のような精神的若さと人間的成長をキーワードに
喜働者(喜んで働く人達)を生み出している会社」
「自ら考える、発言する、行動する、反省する人財を育成する会社」
そして「常に進化し続けている会社」

これらを実現されているのが、高知県高知市のカーディーラー、ネッツトヨタ南国様
(2002年度日本経営品質賞受賞企業)です。
一人目の龍馬である横田社長様から話を伺うことができましたので、
特に印象に残った内容をご紹介したいと思います。


■人財創り

この会社の経営理念には、「全社員を人生における勝利者に」という一文があります。
それを実現するための第一歩として、「気付く」人財を獲得するために、
新卒採用時には一人当たり30時間以上の面接を実施されています。

採用担当の大原様は、別の講演会で「弊社の価値観に共感していただける
『100人に1人』を探しています」とも言われていました。
リッツカールトンホテルも、数億ものお金を掛けて、
自社に合った人財を採用する仕組みを構築されていますが、
エクセレントカンパニーでは、入り口時点での厳選採用がポイントのようです。

また、そうやって採用した人財は、「自ら考える、発言する、行動する、反省する」
というPDCAを回すことによって、育成されています。
一つ実例を挙げれば、様々な問題はテーマ毎のプロジェクトチーム制によって、
従業員自身が話し合いで決めています。
もちろん、話し合いで何も発言しないことは許されません。

ある日、ショールームに置いている雑誌が問題になったそうです。
と言うのは、一部の週刊誌に女性のヌード写真が掲載されていたからです。
このような話し合いの場では、多数決ではなく全員が納得するまで話し合うように
しているとのことで、この日も沢山の意見が交わされ、会議は夜遅くまで続いた
そうですが、結局雑誌自体を置かないようにしようという結論に至ったそうです。

その理由は経費の節減ではありません。自分達とお客様とのコミュニケーションの
質と量を向上させることによって、より以上にくつろいで頂けるショールームに
していこうと意見が一致したからだそうです。

同じような考えに基づいて、ショールーム内の子供が遊ぶキッズコーナーに、
おもちゃは置いてありません。
おもちゃに頼るのではなく、ショールームアシスタントの女性が子供さんの相手を
しているのです。
また朝の時間帯には、250円でパンやコーヒー、サラダといったモーニングサービス
も用意されているのですが、これもプロジェクトチームで決定されたそうです。

これらは一例に過ぎませんが、素晴らしいのは、全ての出来事に対して
「真因を把握し、問題対処ではなく、問題解決をしている」ということです。

先程の話で言えば、お客様はショールームでの待ち時間はどうしても退屈に
なりがちです。
それに対して、時間つぶしとなる雑誌やおもちゃを用意すると言うのは、
問題対処に過ぎませんので、待ち時間を楽しく過ごしていただいて体感時間を短くする、
またその時間を有効活用してお客様との関係を深めるというような問題解決を
考えているのです。

別の例で言えば、売上や利益が伸び悩んでいるとか、低迷しているという問題に
対して、「見込客を発掘しよう」と考えるというのはよくある話ですが、
この会社ではそれでは問題対処に過ぎないと考えています。
もう一歩踏み込んで「お客様満足の機会創出」を考えることによって
根本的な問題解決を図っているのです。

また、この会社では、目先の目標達成よりも目的追求を大事にされています。
経営品質の用語で言えば、目標=事実前提、目的=価値前提となるのですが、
目標とは「もの(量)、見えるもの、短期的なもの」であり、目的とは
「思い(質)、見えにくいもの、長期的なもの」であると定義されています。
企業の目標とは、「売上やシェア・利益の拡大等」であり、
目的とは「従業員満足や顧客満足・社会貢献」です。
したがって、目先の目標達成よりも、将来に向けた目的追求に力を注いで
おられるのです。

「問題の対処に陥っていないか、真因を把握し、問題解決がなされているか」、
「目的と目標を履き違えていないか」と全社員に徹底することを通じて、
自らの人生の経営者を、そして勝利者を育成されている事実に
思わず唸ってしまいました。


■基本に忠実

この会社の強さの秘密は、「基本に忠実」であるということです。
常に理念に立ち返り、すべての判断・意思決定を下し、行動されています。

横田社長様の「うちのスタッフは、理念を暗記してはいませんが、体で覚えて
います」という言葉、そして質疑応答での「これまで25年掛けて
この会社をここまで育ててこられましたが、新しい会社をゼロから立ち上げて
同じように育てるのにどの位の時間が掛かると思われますか?」
という質問に対する「やはり25年でしょうね。人を育て、組織を作るのには
時間が必要です。」という回答には、納得せざるを得ませんでした。


■四国管財さま

二人目の龍馬は、ビルメンテナンス業を営まれている四国管財の中澤社長様です。
朝礼から参加させていただいたのですが、いきなり私たちも含めてハイタッチという
ハイテンションスタートです。
事務所メンバー全員が参加され、朝から活発でスピード感のある情報交換が始まるの
ですが、朝礼中に掛かってきた電話は、その話題に一番関わりの無いメンバーが
素早く対応されていましたし、新入社員はもちろん、中澤社長に対しても、
遠慮のない意見が飛び交う社風は噂通りのものでした。


■クレームを活かす

「クレームは顧客からのラブコール」という言葉がありますが、四国管財様では
お客様のクレームはもちろん、従業員さんからの情報も「ラッキーコール」と呼んで、
とことん活用しておられます。

「クレームを報告しなさい」と言いながら、上がってきたクレームに対して
厳しい責任追及をしたり、「情報を収集しなさい」と言いながら、
「そんなつまらない報告をするな」と言う会社がありますが、
これでは上がって来る情報は限定されてしまいます。
そうではなく、現場からクレーム以外の些細な情報も上げてもらい、それを経営に
活かしていこうと思えば、情報を吸い上げる仕組み作りが必要なのです。

そこで、「仕事上のミスは、本人ではなく会社の責任である」ということを様々な
角度から繰り返し伝達し、情報が上がりやすい仕組みと雰囲気を作りあげておられます。

例えば清掃中にコップを一つ壊してしまったとすると、その従業員さんは5分以内に
本社のお客様係に連絡を入れ、お客様係は3分以内に対処の方向を決定することに
なっています。
場合によっては、お客様係が2時間車を走らせてお客様のところへ駆けつけたことも
あるそうですが、この時には逆にお客様の方が、恐縮されたそうです。
しかしながら、これがきっかけで人間関係ができ、様々なご要望を遠慮なく伝えて
いただけるようになったとのこと。

他にも毎月A3サイズで10ページに渡る社内報「つもろう」を発刊されており、
理念と行動を一致させるための地道な努力を積み重ねた結果、最近はお客様から、
受付業務や駐車場管理業務等の周辺業務の依頼が増加しているとの事でした。


■夢を実現する

この会社で、一番大切にされているのは、全従業員が夢を実現するということです。
どんな夢でもかまわないそうですが、一つずつ実現していくことによって、
その人なりの幸せな人生を送って欲しいと考えられています。

中澤社長様からは、「ビルメンテナンス業は、まだまだ社会的評価が低く、これまで
悲しい思いや悔しい思いをしたことは少なくありません。でもそれをバネにして、
全ての従業員さんが『私は四国管財で働いています』と誇りを持って口にできるように
していきます。」と熱く語っていただきました。

この夢を実現される日は、遠くはないようです。


■シナリオ

二人の龍馬のお話を聞いて、改めて感じたことは、
「従業員満足 → 顧客満足 → 売上・利益の拡大」というシナリオの重要性です。

御社のシナリオはいかがでしょうか?


■編集後記

帰りのバスまでは少し時間がありましたので、
通販会社生活総合サービスの古賀社長さま
&藤川さん&扇さんと一緒に、一路坂本龍馬記念館&桂浜観光へと…。
(http://www.seikatsusougou.com/)

桂浜から太平洋を望んでいると、「志を持て」、「遠くを見よ」、
「日本を今一度せんたく(洗濯)いたし申候事にいたすべく」といった言葉が
思い出され、気分はすっかり…胸元に手が入っていました。(笑)

お土産に、坂本龍馬ポスター(大)を購入したのですが、
早速社内に掲示して私のお目付け役になっていただいています。


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